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白雪姫を殺そうとしたのは、生みの母だった!
ディズニーで有名な白雪姫は、もともとグリム童話です。
私たちがよく知っているストーリーでは、白雪姫の殺害を計画するのは、継母ということになっています。
ところが初版のグリム童話をみると、白雪姫を殺そうとしたのは、実は白雪姫の生みの母だったんです。
血のように赤い唇の子がほしい
しんしんと雪の降る寒い日、お城の中で縫い物をしていたお妃様は、うっかり針で指をさしてしまいます。
その時自分の真っ赤な血で、真っ白な雪を染まるのを見て
「この滴り落ちた血のような真っ赤な唇をもち、雪のような真っ白い肌をもち、そして窓の黒檀のように黒いつぶらな瞳の子が与えられますように。」と願うんです。
そうして生まれてきたのが、白雪姫でした。
「鏡よ、鏡、世界で一番美しいのは誰?」
白雪姫の母にとって、自分の美しさが自慢で、
毎日魔法の鏡に向かい「鏡よ、鏡、世界で一番美しいのは誰?」と尋ねることを日課にしていました。
そして「それはあなたです。あなたが世界で一番美しい。」という鏡の声を聞くことを喜びにしていたんです。
毒りんご殺害計画
ところが白雪姫が七歳になった時、魔法の鏡は「世界で一番美しいのは白雪姫」と答えます。
自分が2番になったことに怒り狂ったお妃は、醜い老婆に変装して、毒りんごで白雪姫を殺害しようとするんです。
でもなぜ母が我が子を、殺そうとするんでしょう?不思議ですよね。
でもよく考えてみれば、とても筋の通ったストーリーだということがわかります。
何故、母が我が子を殺す?
普通お腹に赤ちゃんのいるお母さんの願いというのは「元気な赤ちゃんでありますように。」といったものが一般的です。
ところが白雪姫の母は、自分の指から滴り落ちる血を見て、「この血のような唇の娘を」と願ったんです。
生まれてくる赤ちゃんが元気でありますようにとか、幸せになります様にではなく、美しい子が生まれてくることしか願わなかったんです。
ちょっと狂気がかってますよね。
毎日、鏡に「世界で一番美しいのは誰?」と問いかけていた姿からも、お妃様が承認欲求に並々ならぬ執着があったことがうかがえます。
そんな狂気がかった母が、「自分は娘に負けた」と悟った時に、「そんな娘ならいらない」と考えたとしても、不思議はないのではないでしょうか。
承認欲求に飢えていた母
でもなぜ白雪姫のお母さんは、そんなにも自分が承認されることに、飢えていたんでしょう?
まるでなにかに追い立てられているかのようです。
人間は誰でも老いますから、白雪姫を殺したとしても、すぐまた次の誰かが現れて、やがて自分が負けることは、少し考えればわかることです。
でもそんな理性が働かないほど、「自分が一番でなければならない」「勝ち続けなければ意味がない」という承認欲求に追われていたのは、
「負けた自分には、価値がない」
「負けてしまったら、生きられない。」という価値観があったからではないでしょうか。
本当はどの人も存在自体に価値があるのに、白雪姫の母の考えは、人存在しているだけでは不十分で、何かで承認を得られなければ、生きていられないという思いにかられていたのではないでしょうか。
承認欲求から自由になる!
私たちも、似たように考えることがあるかもしれません。
自分の存在自体に本当は価値があるのに、何かをつけ足さなくてはいけないように感じるんです。
「アイツよりも俺の方がすごい。」
「私は、あの人と違って これができる。」
「私には、これがある」と
人と自分を比べることで、自分が承認されようとするんです。
自分より下だと考えていた人に抜かされたと思う時に、「もやっ」とする気持ちは、魔法の鏡に「あなたは、2番」と言われた時のお妃の気持ちと通じるかもしれません。
「自分はダメだ。」
「自分には、いいところがない。」
「自分なんかいても意味がない。」と感じてしまう感覚も、
何かに承認されなくては生きていけないという点で、白雪姫の母と似ています。
ではどうしたら白雪姫の母は、幸せになれたんでしょう?
それには、勝ち負けの世界から出る以外にないのかもしれません。
どんなに勝ち続けたとし人も、やがて負ける日が来るからです。
承認された、承認されなかった、そういう事で一喜一憂することをやめて、そんな事に関係なく、とにかく自分にはもともと価値がある、
自分は生きているだけで意味があり、価値があるんだということを信じて、受け入れる以外にはないんです。
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著者 心理カウンセラー/講演家 かなう美保
12歳までの記憶を失う体験をする。生まれつき重い障害の娘を自宅で看護し、自らの手の中で天国に送った。中学生の息子の頭にこぶし大の腫瘍ができ、頭蓋骨が3㎝の半円状に溶ける経験をした。発達障害が理由で先生からいじめられ不登校から引きこもりになった息子の話を聞き寄り添い、やがて息子は自ら勉強を始め大学に入学、社会復帰を果たした。特別養子縁組により血のつながらない子供を我が子として育てている。
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