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王子様と結婚した白雪姫は、本当に幸せになったの？
前回は1812年に出版されたグリム童話の初版で、白雪姫を殺そうとしたのは、継母ではなく実のお母さんだったというところから、なぜそんな事が起こったのかについてお話ししました。
でも白雪姫は、その後王子様と結婚して本当に幸せになれたんでしょうか？今日はその後の白雪姫がどんな人生を送ったについて考えてみようと思います。
毒親育ちだった白雪姫
王女として何不自由なく育った白雪姫ですが、一番大切なものはかけていました。
そうです。皆さんもお気づきの通り、お母さんの愛情です。
白雪姫の母が自己中心で、愛情豊かとは言えなかったことは、娘が自分を越えた時にそれを喜ぶどころか殺害を計画した様子から見てとれます。
私は愛のない親に育てられ、心が疲れてしまった方にたくさんお会いしてきましたが、白雪姫もその一人だったのかもしれません。
「絶対他人に負けてはいけない、誰よりも美しくなければ」という母に育てられた白雪姫は、幼い時から作法や立ち振る舞いなど厳しくしつけられていたかもしれません。
愛されたくてずっとお母さんのいう事を聞いてきたのに、実際に美しくなり母を抜いた時、娘は母にとって憎しみの対象になりました。
こういうことは現実の世界でもよくおこります。
ずっと親の言うとおりに、親を喜ばせようとして生きてきたのに、いざ息子が父親を抜き、娘が母より幸せになると、親は不機嫌になるんです。
白雪姫に愛情を注いだ七人の小人
そんな母に育てられた白雪姫でしたが、森での生活は幸せだったのではないでしょうか。
七人の小人たちは、白馬の王子のような理想形ではなかったかもしれないけれど、白雪姫を幸せにしたいと心から願って、その幸せな姿を心の底から喜んでくれる人たちだったんです。
ところが白雪姫は絶対に開けてはいけないと止められていたにもかかわらず、老婆に化けた母が来ると、その誘いに乗ってドアを開けてしまいます。
なぜあけてしまったんでしょう？
その声がずっと追い求めてきた優しいお母さんの声だったからかもしれません。
3度、白雪姫を殺そうとする母
実は白雪姫は老婆に化けた母から、3度も殺されかけているんです。
1度目は老婆に化けた母はコルセットの紐で白雪姫を絞め殺そうとしました。
2度目は毒を塗った櫛で、そして3度目が毒りんごだったんです。
２度も殺されかけていたのに、なぜ白雪姫は3度目も騙されてしまったんでしょう。
命を失いかけても、なおドアを開けざるおえなかった白雪姫の心の痛みが伝わってくるようですね。
白馬の王子は、白雪姫を幸せにしたの?
白馬の王子は、そんな白雪姫の痛みを受け止めて、傷をいやしてあげられる人だったんでしょうか？
王子はガラスの棺に入った白雪姫を城に連れ帰ったと書かれています。
そしてその棺から片時も離れず美しさを眺めていたというのです。
よく考えたら怖い話ですよね。
長年連れ添った仲のいい夫婦であっても、伴侶亡きあと、その亡骸をガラスの棺に入れてずっと一緒に生活してるとしたら、正気の沙汰ではありません。
まして白馬の王子は白雪姫の人柄を全く知りません。
王子が知っているのは棺に入ってなお美しい、人形のような白雪姫だけです。
もしかしたらこの王子様も、美しさにのみ価値を置く人だったのかもしれません。
棺の中の白雪姫は、あくまでも観賞用です。
でも生き返った白雪姫は、不機嫌なこともあるだろうし、文句を言う時もあって、王子の思い通りにはならない点がいろいろ出てくるはずです。
そんな時に人形のような白雪姫を愛した王子が、母に愛されない痛みを抱えている生身の白雪姫を、本当に受け止めることができたかどうかは疑問が残ります。
毒親に育ちでも幸せになる！
もし自分の人生が白雪姫と重なる部分があったなら、どうすればいいんでしょう？白雪姫は、どうしたら幸せになれたんでしょう？
それは七人の小人の存在に気がつくことかもしれません。
目を凝らすと私たちの周りには、七人の小人のように小さな愛情を注いてくれる人がたくさんいます。
私たちは母のような、もしくは夫のような、妻のような完全な一人の人に愛されて、癒されたいと願います。
七人の小人の一人一人は、小さな愛情しか注げなかったかもしれません。一人の小人では、自分のニーズを全部満たすことはできないかもしれません。
でも七人で力を合わせれば、白雪姫が必要としていた完全な愛情も注ぐことができたのではないでしょうか。
もし白雪姫が、小人たちと一緒にいることの幸せに気づいていたら、その後もずっと楽しく暮らすことができたかもしれません。
そして小人たちに十分に癒され、愛情を注がれ、癒された後だったら、人形ではなく生身の人間である自分を愛してくれるような王子とも出会って、ずっと幸せに暮らしたのかもしれません。
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著者 心理カウンセラー/講演家 かなう美保
12歳までの記憶を失う体験をする。重い障害の娘を自宅で看護し、自らの手の中で天国に送った。息子の頭にこぶし大の腫瘍ができ、頭蓋骨が3㎝の半円状に溶ける経験をした。特別養子縁組により血のつながらない子供を我が子として育てた。発達障害のため担任からいじめられ不登校からひきこもりになった息子に寄り添い、やがて息子は大学に入学、現在は子供の気持ちがわかる先生として働いている。
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