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母の愚痴聞き役
夫婦関係がうまくいっていない家庭では「お母さん、かわいそう。」と思いながら、育つ子供が多いようです。
女の子、特に長女は小学校の高学年頃から母親の相談役になります。
大人なら反論するような話も、子供は自分の味方になって聞いてくれるし、ママ友のようにうわさ話にされる心配もないから、母にとっては格好の相談相手なんです。
でも子供への愚痴が、実は子供の人生を破壊していることについて考える母親はあまりいません。
母自身もその母の相談役をしてきた人も多く、親として当然のことだと考えている人も多いんです。
「私が助けないと!」
A子さんは、夫婦喧嘩の多い家庭に育ちました。
「こんなひどいことをおばあちゃんにされたのに、お父さんは味方になってくれないの!」
こんな母の愚痴をたびたび聞かされていていました。
いつ頃からかA子さんは「お母さん、かわいそう。私が助あげないと。」と考えるようになっていったと言います。
A子さんは、母を支えながら必死で勉強し、母の喜ぶ大学に入学しました。
就職も母が勧めるところに決めました。
でもしばらくたった頃、突然今までのように頑張ることができなくなったんです。
病院でうつ病という診断を受けて、A子さんは、せっかく務めた会社を辞めることになりました。
仕事をやめた後は、何もする気になれず、無気力な状態が続いていました。
それでもA子さんには「私がいないとこの家庭は崩壊してしまう。」という感覚がありました。
確かに「これからA子をどうしよう。」というときだけ両親は夫婦の会話が成立するので、A子さんの存在が夫婦の関係をかろうじて支えているかのようだったんです。
でもここまで自分を犠牲にしても、お母さんは本当にいつか幸せになれるんでしょうか?
親を幸せにはできない
残念ながら子供は親の幸せをつくることはできません。
どんなに頑張っても、母の夫にはなれないからです。
母が心から望んでいるもの、それは自分は夫に愛されているという充実感です。
でも娘が母の夫になることはできないから、どこまで行っても娘はその場しのぎにしかなれないんです。
母娘カプセル
両親が不仲な家庭で育つと、男の子も女の子も子供は母の幸せに責任を感じるようになります。
そして母が幸せになることが、自分の幸せだと考えるので、自分と母が一体化して、特に娘はカプセル化が起こるんです。
「母の幸せが、私の幸せ」というカプセル状態では母が幸せにならない限り、自分も幸せにはなれない。ということです。
自分だけ幸せにはなれない
カプセル化している状態で、自分が幸せになろうとすると、自分が母を裏切っているように感じます。
だから、自分の幸せを追求できないし、幸せになることもできないんです。
どんな人でも本当の意味で自分を幸せにできるのは、自分一人だけです。
母の幸せは、母が自分で考えなくてはいけないんです。
いくらかわいそうでも、あなたが変わりに母の人生を生きることはできないのと同じです。
もし、あなたが母の相談役を降りれば、しばらくは今までのようにしないことに、母が不機嫌になったり、怒って嫌味を言うかもしれません。
でも親こそ本来、自分より子供の幸せを優先させるべきなんです。
だから子供が自分から自立しようとする姿を見て、不機嫌になること自体、お母さんは、かなり自分勝手な人だということですよね。
でもいよいよあなたが当てにならないとわかれば、お母さんはすぐに他の相談相手を見つけるので大丈夫です。
そのぐらいのしたたかさがなければ、お母さんは今まで生きて来られなかったはずです。
カプセル化しているということは、あなたが親から自立していないという意味です。
自立しないままなら、やがてあなたも同じように、あなたの幸せの責任を子供に追わせることになるかもしれません。
まず自分を幸せにする!
カプセル外しをするためには、自分と母の人生を分けて考えることが必要です。
「今まで頑張ってきたけれど、いくらお母さんがかわいそうでも、私がお母さんの幸せをつくることはできない。」と認めることです。
そして、「お母さんの幸せにすることは、私の責任ではない。」と何回も自分に言い聞かせて、まず自分を幸せを優先することを大切にしてください。
自分を幸せにできなければ、他の人だれも、幸せにすることはできないからです。
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著者 心理カウンセラー/講演家 かなう美保
12歳までの記憶を失う体験をする。重い障害の娘を自宅で看護し、自らの手の中で天国に送った。息子の頭にこぶし大の腫瘍ができ、頭蓋骨が3㎝の半円状に溶ける経験をした。特別養子縁組により血のつながらない子を我が子として育てた。発達障害のため担任からいじめられ不登校からひきこもりになった息子に寄り添い、やがて息子は大学に入学、現在は子供の気持ちがわかる小学校の先生として働いている。
詳しいことは グレイスカウンセリング https://kanaumiho.com/
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