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マルチタスクなら たくさんのことができる?

皆さんは、やることが多くて、あれもこれも気になり、あまり手につかないのに、ストレスだけが高くなるという経験はありませんか?

やらないといけないことが多すぎると、一つのことをやっていても、他が気になって集中できなくなるっていうことありますよね?

最近はタイムパフォーマンス、「タイパ」という言葉をよく聞くようになりました。

仕事や家族、自分のことと忙しい毎日の中、効率よく時間を使いたいと考えるのは当然です。

そんな時、あれもこれも いっぺんに進めて、時短ができる「ながら作業」や「マルチタスク」だったら効率よくたくさんのことが 終わらせられるような気もします。

それに加えてマルチタスクができる人は、有能な人というイメージがあります。

でも実際のところはどうなんでしょう?

今日は、マルチタスクの効率について検証したいと思います。

集中が3秒途切れただけで…

ミシガン州立大学のエリック・アルトマン博士は、こんな実験をしました。

300人の学生に注意力が必要なパソコンの作業をしてもらって、その最中にポップアップの広告がでるようにしたんです。

するとポップアップ広告でわずか3秒集中が途切れただけで、ミスの発生率が2倍に跳ね上がったというんです。

また広告で集中が5秒途切れた場合は、ミスが4倍に増加したそうです。

3秒で2倍って、ちょっと驚きの数字ですよね?

脳は一つのことしかできない

スタンフォード大学の神経学者エイアル・オフィール氏は、「マルチタスクで作業をするとき、私たちの脳は、猛スピードで何度も切り替えをしている状態になっている」といいます。

なぜなら基本的に人間の脳は、一度に一つのことしかできないからなのだそうです。

つまりマルチタスクの最中私たちの脳は、一つのことを保留にして、もう一つのことをやるための回路に切り替える作業を何度も何度も繰り返しているということなんです。

切り替えのときにはスイッチングコストと呼ばれるタイムラグが発生するので、作業には余計な時間がかかることになるのだそうです。

運転しながら課題をやると…

ユタ大学のルチ・ワトソンとストレイヤーが100人を対象に行った運転しながら課題をやる という実験をしました。

その実験で運転しながらでも結果が変わらなかった人というのは、わずか2.5%だけだったそうです。

残りの97.5%、つまりほとんどの人は、運転しながらの課題の得点が下がったというんです。

まぁ、少し考えれば想像がつきますよね。

マルチタスクの作業時間は1.5倍

マルチタスクやながら作業でも、効率が変わらない時も、というのもあるそうです。

でもそれはテレビを見ながらご飯を食べるとか、音楽を聴きながらの掃除するというような頭を使わなくても、自動的にできるような作業に限定されるそうなんです。

ワシントン大学のジョン・メディナ教授は、マルチタスクすると仕事を終わるまでにかかる時間は1.5倍になり、ミスは50%増えるといっているんです。

でもマルチタスクで仕事をすると、自分が有能になった気がして、少なくともいい気分になれますよね?

でもこのことを、言語学者の堀田修吾教授は「まやかしの満足」だといっています。

なぜならマルチタスクは、仕事の効率が下がるだけではなくて、脳に負担がかかるため前頭前野の機能が低下して、判断力や集中力も落ち、自律神経のバランスを乱すので心身の不調すら現れやすくなるからなんです。

心身まで不調、これは困りますね~

仕事が多くて 集中できないとき

でも やることが多くて圧倒されてしまって、あれもこれも気になって、一つのことに集中できないような時はどうすればいいんでしょう?

そんな時は紙を1枚用意してください。

そしてやらなくてはいけないこと、気になっていることなど、家のこと 子供のこと、仕事もこと自分のことなど全て、思いつくままに紙に書いていってください。

頭の中に ぐるぐる回っていることを、紙に書き出すと覚えておく必要がなくなるため、それだけでストレスがだいぶ減ります。

すべて書き出したら緊急性や重要性を考えて、優先順位を決めるんです。

こんな風に頭の中をグルグル回ることで脳を疲れさせている気になっていることを、紙に書き出して、整理して 優先順位をつけると、自分の思考や行動を俯瞰できるようになります。

そうすることで焦らずに、今やっている目の前の一つのことに集中して作業ができるようになります。

そうすると結果的にたくさんのことを効率よく終わらせることができるんです。

あれもこれもと 気になる場合でも、効率よく仕事をこなしていくためには、目の前の事に一つずつ集中して進める方が、結果的にたくさんのことができるということなんです。

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著者 心理カウンセラー/講演家 かなう美保  
12歳までの記憶を失う体験をする。重い障害の娘を自宅で看護し天国に送った。中学生だった息子の頭にこぶし大の腫瘍ができ、頭蓋骨が3㎝の半円状に溶ける経験をした。発達障害のため担任からいじめられたことが原因で高校を中退し、ひきこもりになった息子に寄り添う。やがて息子は大学に入学、現在は自らの経験を生かして子供の気持ちがわかる小学校の先生になっている。特別養子制度により血のつながらない子を我が子として育てた。

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