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皆さんは、自分が楽観主義だと思いますか？
それとも悲観主義でしょうか？
実は人間の脳は元々、物事を楽観的に捉えるようにできているようなんです。
プラセボってなに？
プラセボという言葉は皆さんも、お聞きになったことがあるんじゃないでしょうか？
プラセボというのは、薬の成分が入っていない偽物の薬、偽薬のことをいいます。
新しい薬の開発をする治験の時に、新薬の効果を測るために、プラセボと比較する話を時々聞きますね。プラセボという言葉の語源は、ラテン語で「私を喜ばせる」という意味なのだそうです。
プラセボが、どうやって私たちを喜ばせてくれるんでしょう？
プラセボは、薬と同じ効果があった！
アメリカで2011年に発表された喘息の方に行ったプラセボ効果の実験があるそうです。
喘息の人たちを、本物の薬を服用する人、プラセボを使う人に分けました。
すると本物の薬とプラセボでは、呼吸困難や胸を締め付ける感じなどの自覚症状が、同じぐらい改善したという結果でたんです。
不思議ですね～
期待が高いと、プラセボ効果も高くなる!?
2010年にはパーキンソン病の方向けにプラセボの実験がありました。
患者さんをいくつかのグループに分けて「これから飲む薬は、本物かもしれない、プラセボかもしれません。」と伝えました。
そしてグループごとに本物の薬である確率は、25%、50%、75%とそれぞれ伝えたそうです。
すると「75%の確率です」といわれたグループは、実際飲んだのはプラセボだったのに一番病状が改善したそうです。
この実験から期待値が高いと同じプラセボでも、より病気が良くなることがわかりました。
「良くなる！」という期待の高さが、違いをつくった
また2015年に発表された実験では、パーキンソン病の患者さんを二つのグループに分け、値段の高い新薬と、普通の安い薬を使うとそれぞれに説明しました。
その上で、実際には全員にプラセボを投与したんです。
すると同じプラセボなのに、新薬と信じた人たちは、運動機能がすごく改善したという結果が出たんです。
確かに「すごく高価な新薬」と言われた方が、なんだか効く気がしますよね。
「きっと、良くなる！」という。期待の高さが、結果の違いをつくったんですね！
プラセボ効果は、気のせいじゃなかった
でもどうして薬ではないはずのプラセボで、治療の効果が出るんでしょう？
1970年代後半には、こんな実験があったそうです。
親知らずの抜歯ってすごく痛いですよね。
この実験では親知らずを抜いて2時間後のすごく痛い時に、
「これは 鎮痛剤です。」と偽って、なん効果もないはずの生理食塩水つまりプラセボの注射をしました。
実はプラセボは、飲み薬の錠剤なら、小さいよりも大きい方が、さらに注射はもっと効果がてきめんという報告があるんです。
抜歯をした2時間後、プラセボの注射をした人は、ほぼ全員が、だいぶ痛みが楽になったと報告したんです。
でもこの実験の面白いところはここからです。
さらに1時間後、今度はその人たちを二つのグループに分け、一つはもう一度同じ生理食塩水を注射し、二つ目のグループにはナロキソンをいう物質を注射したんです。
どうなったと思いますか？
するとプラセボ注射の人は、さらに痛みが楽になったのに、ナロキソンを注射した人たちは、全員痛みが増したんです。
実はこのナロキソンという物質は、私たちの脳内麻薬物質エンドルフィンという成分を遮断する働きがあるんです。
つまり「もう安心だ。これで痛みが治まる」と期待したことで、脳の中では痛みを和らげる麻薬物質エンドルフィンが実際に分泌されていたんです。
だから痛みが和らいだのは気のせいではなくて事実だったんです。
でもナロキソンで、エンドルフィンという成分を遮断した結果、脳内麻薬物質がなくなったので痛みが増したんです。
エンドルフィンを分泌させたのは、「大丈夫！」という期待感だったという事なります。
脳は「いいことが起こる！」と期待するようにできている
実はこの期待する力は、すべての人に備わっています。
人間の脳が、そういう風にできているからです。
人類が長い歴史の中で、厳しい時期も乗り越えてこられたのは、
実際にはいい事と悪いことが起こる確率が半々の時でも、脳は「きっといいことが起こる。」と期待するようにできているからだそうです。
そういえば、首都直下地震はこの30年に70%の確率で起こると聞いても、私たち、実際割と楽観的に暮らせていますよね！
現実的に考えることも確かに大切ですが、とくにつらい時には、物事は明るい方に期待できると、心も体もグッと楽になります。
そしてその力は、あなたにも備わっているんです！
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著者 心理カウンセラー/講演家 かなう美保
12歳までの記憶を失う体験をする。重い障害の娘を自宅で看護し、自らの手の中で天国に送った。息子の頭にこぶし大の腫瘍ができ、頭蓋骨が3㎝の半円状に溶ける経験をした。特別養子縁組により血のつながらない子を我が子として育てている。発達障害のため担任からいじめられ不登校からひきこもりになった息子に寄り添い、やがて息子は大学に入学、現在は子供の気持ちがわかる小学校の先生として働いている。
詳しいことは グレイスカウンセリング http://kanaumiho.com/
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